長距離サイクリングを走りきるコツ・エネルギーに関する考察

長距離サイクリングはスタミナ勝負


長距離サイクリングではエネルギーのコントロールが重要です。序盤に飛ばしすぎてオーバーペースになると、終盤でスタミナ切れになったり、筋肉に限界がきたりしてしまいます。走っている途中で脚が痙攣したりつったりすると事故や怪我の原因にもなり危険です。

「長距離サイクリングでは最初の1時間が重要」

サイクリングイベントの前にはよく言われる事だったりします。序盤の1時間でウォーミングアップをするようなイメージでしょうか。これは理にかなっているようで、最初の1時間のペースをしっかり守ると結構最後まで走りきれたりするんです。
このアドバイスには何か理由がありそうなので調べてみることにしました。

筋肉を動かすエネルギーは大きく分けて2種類

無酸素系エネルギー

無酸素運動で働くATP-CP系と解糖系の2種類のエネルギーは、筋肉細胞中に蓄えられたクレアチンリン酸やグリコーゲン(炭水化物)を消費します。
瞬間的に大きなパワーを生み出す一方で、持続時間が短いのが特徴です。
(ATP-CP系:8秒程度|解糖系:30〜60秒)


ちなみに解糖系はエネルギーを作り出す過程で乳酸が生成されることから「乳酸系」という別名がついています。乳酸は酸素が十分にあればエネルギーとして再利用されるのですが、酸素供給が追いつかないと筋肉に蓄積して酸欠を起こします。

有酸素系エネルギー

有酸素系エネルギーはピルピン酸や脂肪を元に生成されます。名前の通り有酸素系エネルギーは生成される過程で大量の酸素を必要とします。
このエネルギーは瞬間的にパワーを生み出すことには向きません。その一方でエネルギーの供給量が多く、長時間の運動を可能にします。さらに有酸素系エネルギーは乳酸をほとんど生成しません。


長距離サイクリングではこの有酸素系エネルギーを上手に使うことが肝心なんです。

有酸素系エネルギーを増やすのに1時間かかる

筋肉は運動強度に応じて無酸素系・有酸素系エネルギーを使い分けているのではなく、運動する間はどちらのエネルギーも消費していきます。
運動開始時はすぐに生成できる無酸素系エネルギーの割合が多くなります。有酸素系エネルギーは運動開始時はそれほど高くないものの、時間の経過とともに生成される量が増加していきます。そして運動開始から1時間経過した頃にさらに増加し始めます。

つまり「長距離サイクリングの最初の1時間」は有酸素系エネルギーの割合を増やすために必要な時間だったのです。

有酸素系エネルギーを使えば楽に走れる!

有酸素系エネルギーの割合を高めることができれば、無酸素系エネルギーの消費と乳酸の蓄積を抑制できます。さらに酸素供給が多くなるため、乳酸をエネルギーに再利用しやすくなります。

このような仕組みで、最初の1時間ペースを守ってこの状態を作り出せば、それ以降は楽にペダルを回し続けることができるようになるんです。

ちなみに…

トレーニングを積むと体内に取り入れられる酸素量が増加します。そうすると乳酸をエネルギーとして再利用できる量が増加し、より長い距離を走れるようになります。

しかし注意すべきポイントも…


30分程度の休憩をすると有酸素系エネルギーの比率は元に戻ってしまいます。エイドや途中の休憩で休みすぎると再び走り出すのが辛くなる原因はこれのようです。体のスイッチがオフにならないように、休憩はできるだけ短くしましょう。

今回のまとめ

「長距離サイクリングでは最初の1時間が重要」というアドバイスが理にかなっていたことが判明したところで今回のまとめです。

  • 長距離サイクリングで大切はのは有酸素系エネルギー
  • 有酸素系エネルギーを使うためには走り始めの1時間が大切
  • 長時間の休憩はエネルギー効率を悪化させる

参考資料


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